Beak stardust

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見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus 感想

 

 

誰とも結ばれずに学年が上がっていった時に三人が作った世界。
三角関係はとても美しく、とても輝いていた。
それはデネブ、アルタイル、ベガの夏の大三角のように。

 


今回の『見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus』は『もしもの世界』である。
その世界は積み上げてきた三人の関係が終わりを告げることなく、続いていく。
欲しいものを独占することが出来ないという残酷な世界でありながらも、分け合うことで共有する。
これはヒロインにとっては残酷であるが、主人公にとっては欲しいものをすべて手に入れたということである。
家族というものをほとんどを知らない暁斗、暁斗の背中を押したひかり、暁斗に手を引っ張られた沙夜の三人の幼馴染だから成り立つ。自己犠牲の精神によって、成り立った本当に優しい世界であり、周りも理解しているからこそ、実現したもの。
普通じゃない三人の幼馴染が普通じゃない恋人関係へと変わっていくストーリーだ。

この世界、三人の関係を続けるという点で見るならば最高のハッピーエンドである。
ひかりと沙夜はどちらかが暁斗を望めば、どちらかは手にすることが出来た世界線だったのにも関わらず、どっちも望まなかった。


『見上げてIF』では物語の終盤に恋人関係になった後、短冊に願いを叶える時にひかりはこんな台詞を言う。

『わたしたちって、ちゃんと恋人なのかな?』
『やってる事が、子供の頃とあんまり変わってないなぁって、思って』

この三人は子供の頃に一緒にいることが当たり前だったからこそ、こうして遊んでいることが変わらないと感じているのだろう。この三人は恋人同士になっても大きな変化はなかった。

恋人同士の関係ならば、FDでのひかりと二人で学園祭を回ったり、沙夜と二人でデートしたりする。最終的にそれがひかりであれば、エンディングには大学進学後の同棲生活、沙夜であればエンディングには結婚というような道に続いているのだ。
恋人らしいこと、夫婦らしいことを本編やFDで描かれているが、今回はそれらしい様子が全くない。
しかし、一方でそれぞれ恋人になる可能性としてその道がありながらも、二人はこんな感情も持っていたのだった。

ひかりもずっと暁斗のことが好きだけども、沙夜が暁斗以外の男と付き合うのは嫌。
沙夜もずっと暁斗のことが好きだけども、ひかりが暁斗以外の男とキスするのは嫌。

ひかり√でひかりが沙夜に譲ろうとした部分、沙夜√がひかりを裏切ったと思ってしまうそれぞれの感情が今回の『見上げてIF』に反映されており、だからこその『もしもの世界』が強調されている。



三人が初めて体を交わ合わせる時、幼馴染関係から恋人関係へ変わる。
その様子を当たり前のように受け入れてくれる友人も、恐らくそれが三人にとって一番のハッピーエンドだと思っているからだ。

ひかりと、沙夜とそれぞれ二人ずつの最高の物語が本編及びFDならば、この三人にとって最高の物語が『見上げてIF』なのである。


・感想

暁斗はもしかしたらハーレムエンドを作ることが出来たんじゃないか?と思うぐらい、女の子にモテモテでしたね。
素でころな、ひなみん、吉岡ちゃん、ノリちゃん先輩、大人の事情()で早乙女先生、もしかしたら珠紀ちゃんまで堕とせたと考えられると、彼がどれだけむつらぼしの会に貢献したか思い知らされます。
もしもコンシューマ移植で追加ヒロインを出せるなら、ノリちゃん先輩が欲しい……。

見上げてのメインヒロインたちはどこまでいっても三人の人間関係がメインでしたね。天体要素がオマケで、その辺は『ころげて』とは違った良さが表れていたと思います。
クイズでは星空宇宙検定5級検定レベルの問題が出てきて、正解するとストーリーが見られるシステムはとても良かったと思います。ちなみに一問だけ外して、他は全部正解でした。
ノリちゃん先輩、陣野さんの先輩たちのショートストーリーも魅力が伝わってきました。なんで田尻さんのはなかったんですかね…。
えっちなシーンが1つしかなかったのは少し残念でしたが、その分、中身が豊富。幼馴染から恋人へと変わる様子をしっかり描いた場面という意味でならば一つで十分でしたから満足はしています。
他にもFDや本編で描いたようなネタ?というか物語の絡みがIFにものすごく反映されていてよかったです。吉岡ちゃんのグループ相手の打ち間違いなんか特にそれ。
あとは自転車ひなみんと暁斗×武一の壁ドンは面白かったです。


最後に。PULLTOPさん、最高の作品をありがとうございました。
大学3年の頃に『見上げてごらん、夜空の星を』という作品と出会っていなければ、大学1年の時に初めてプレイするエロゲが『この大空に、翼をひろげて』でなければ、たぶんエロゲを今でもやっていなかったでしょう。
それに天体にハマった今の自分はいなかったと思います。
居たとしても、別経路でハマってはいたかもしれませんが、この作品とは縁がなかったでしょう。

見上げての本編ではひかりか沙夜のどちらかを選ばなければいけない状況というのは、必ず誰かが犠牲になってしまい、傷つくのは少し悲しい世界でした。どちらも選択できなかったのですから、ハーレムエンドが本編であればよかったなと思ってはいました。
『ころげて』では風戸姉妹のハーレムエンド、FDで姫城姉妹の3Pもあったので、恋人関係ではなくても、3P的なものが来るのかなとは少し期待はしていたのが、今回の作品ですべて満たされました。
もしもの世界。ユーザーの頭の中でしか無かったものを作品として出していただけたことに感謝しかありません。

次回作もよろしくお願いします。