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見上げてごらん、夜空の星を(FINEDAYS込み) 感想

 


星はどんな場所でも、同じ輝きを放っている。輝きが違うように見えるならば、それは誰と見てるか。
自分の天体観測の情熱を戻してくれた作品。そしてアルビレオという星を教えてくれた一作でありながら、自分の就活にまで魔の手を伸ばしてしまったまさに人生に一本を投じたゲーム。
この作品の見どころは星、月を含めた星空の描写は非常に美しく、本物に近いぐらいに美しい。その反面、前作である「この大空に、翼をひろげて」のような熱い展開は薄いものの、その分人物関係に力を入れているのが感じ取られた。舞台設定は多少ガバってる部分があるけども、個人的には気になりません。
もしこのゲームをプレイして、星空を見上げたくなったのならばこのゲームの99%は楽しめたと思っていい。


まずは音楽と機能。
OPの「Winter daiamond」はここ数年のエロゲではTOP10に入ってもおかしくないと思うぐらいには素晴らしい曲。サビのRitaさんの伸びるハスキーボイスが聞いていて気持ち良いし、アップテンポな曲が好きな自分にとっては最高としか言えない。今でもこの曲を聞くとワクワク感が溢れ出してくるし、夜空を見上げたくなる名曲かと。FDのCeuiさんは「Finest Sky」も聴いていて耳に馴染む曲でまったく不快感の無く、テンポが良いです。一気に明かりが消えていくシーンで「EMP兵器やめろ」ってコメントで爆笑しました。
本編となぞるならば「Winter daiamond」が天体観測へ踏み出すまでの過程の曲ならば、「Finest Sky」は誰と天体観測しているのかを表している。暁斗目線で語られてる、そんな曲と思ってます。
どちらも天体観測をテーマにしていて二重丸です。

EDやプレビュームービーで使われてたメインテーマの「Star map」はプレイ中の時に一番最初に流れたので印象に残っていますが、霜月はるかさんの歌声が綺麗に響くメロディでワクワク感よりも心の準備をしとけよ、っていうメッセージを受け取った感じになりました(意味不
どれも映像が非常に綺麗で見せ方が上手いし、ヒロインも分かりやすく映ってて、おおくまけんいちさんの編曲の良さがすべて詰まった三曲だと思っております。Ritaさん、霜月はるかさん、Ceuiさんの三人って今思うと豪華だな……。

本作はバイノーラル音声が導入されているので、イヤホンやヘッドホンがはかどります。
沙夜とか織姫とかすごく可愛いよ。


本編の全体的に物語の√を分けると二つ。
ひかりと沙夜、ころなと織姫に分岐し、途中でさらに二分します。選択肢も非常に少なく、狙った子の√に入りやすいため、攻略というよりも4つの物語がある感じですね。
ひかりと沙夜はスターライト・プロジェクトへ一年先に飛び、ころなと織姫は共通後の物語にすぐ繋がっていきます。メイン二人は「ひかりの影に沙夜あり」「ひかりと沙夜の影に主人公の暁斗あり」という物語構成だと思ってください。
ライターはアスタさんがひかりと沙夜、高嶋さんがころなと織姫なのかな?


・ひかり√


まとめるなら「見上げてごらん、夜空の星を」。

一番の正統派√だと思っています。物語にきちんと起承転結が描かれており、「みあげて」の全体的に人間関係を意識している物語の中でも、障害となる壁に対して立ち向かう過程で関係が深まるというここ最近のPULLTOP全体の意識している展開が見られていて、個人的には大満足でした。俗に言う、王道展開ですし、自分が紺野アスタさんの書くストーリーが好きな理由ですね。

ひかりがふたご座流星群をより美しく見るために「スターライト・プロジェクト」を先頭を切って引っ張っていく姿をサポート役に回る主人公の暁斗。この関係が、「みあげて」が2014年で評価を受けた一因だと思っていますし、主人公は目立ちすぎず、目立たな過ぎずが個人的に良いんですが、やっぱり作風によるよね。
内容は現代の方法を生かしたネットを活用し、プロジェクトを様々な方法で周りの人間を巻き込んでプロジェクトに向かって一体となっていく物語で読んでいて面白かったです。ご都合主義の中でも、登場人物の奮闘が良く見られているので違和感はありません。

沙夜との三角関係で(自分が想像する)キャラの通りに恋愛関係に迷う姿とか個人的には良かった。あれで突っ切るタイプなら自己主張のしない沙夜が置いてけぼりになってしまう感じがするし、三人の関係がぐちゃぐちゃになってそうな気がするのよね。
ひかりが面倒な子って言われたりするけど、このくらい悩んでくれるとキャラ的に好きなんですよ。葛藤があるキャラは人間味があっていいじゃない。ほら、元気な子が恋愛で悩むとかありがちで良くない?ってさ…。
沙夜が暁斗に好意を寄せているから自分は身を引いたところが、沙夜からの言葉でようやく暁斗との関係が進んでいくところは好きです。イチャイチャしまくってますからね。
その後は沙夜が抜け駆けしてしまってしまったからひかりに迷惑をかけたと、また二人の間に傷が生じるのですが、和解のためにプロジェクトが成功不可欠な展開になったという感じです。

幼少時代の三人乗りを現在の高校生三人で再現するところは昔も今も関係は変わらないことを表しつつ、BGMに流れる主題歌の「Winter daiamond」が文句なしの100点満点でございます。一番の見どころですし、ちょっとウルっときましたし、こういう展開に弱いんです。
エピローグで2034年しし座流星群を子供と一緒に観測し、タイトル回収してメインヒロインと思える存在感を見せつけました。

作中の「電灯が一つ増えれば、見える星が一つ消える」ってのには感心と思いました。こういうところは現実で自分がよく感じている「時が経てば、景色が変わっていく」に近いものを感じますね。
瞬間を閉じ込めたものなんて、現実には無い。だから、あらゆるものは変わっていくのです。


ファンディスクのFINEDAYSでは彗星についてガッツリ語られます。ひかりの苗字が箒星(ほうきぼし)そういう意味では関係してますね。ガイソン彗星は太陽最接近の際にバラバラになってしまったとか、天文ファンからしたら「は?」となったことも記述されているので、おそらくアイソン彗星のことでしょう。
幼少時に三人が記録した惑星観測ノートにガイソン彗星で埋まらなかったものをオルコット彗星で埋めてあげるという展開へとなっていきます。オルコット彗星はオルコック彗星のことかと…。
オルコット彗星の観測までひたすらラブラブしてるだけですし、ファンディスクらしい内容になっております。学校のトイレで行為したり、同じ部屋で事に及ぶなどイチャイチャっぷりを見せつけきて、最後には大学進学後の同棲生活でコーヒーを片手に星空を眺めながら、肩を寄り添う場面は印象深かったです自分もあんな彼女欲しいなと思いました。爆発しろ
隣県の田舎、というと舞台設定が茨木の日立市ですから、栃木か福島あたりが候補っぽい。栃木なんかは星空スポットでそこそこ有名な場所もありますが、暁斗の家庭環境を考えると福島大学なのかなと思ったりも。

あとカニ鍋の飯テロやめろ。おでんもそうだけど、数少ない飯テロシーンにすごく丁寧でリアルなイラスト挟んできて、気が気でならなくなってしまう。
後はひかり√だとタイトル回収しますし、メインヒロインっぽいなと思いました。

 

・沙夜√


天ノ川沙夜という本作のキーパーソンによる成長の物語。

彼女が暁斗とひかりとの三人の関係をスタートさせるヒロインです。
個人的には付き合う後で悩んでいる沙夜のほうが面倒な子だな…と感じましたが、人気投票トップなところを見る限り、やっぱり可愛さは正義。いちいち可愛い。
ひかりがプロジェクトに重点が置いてあるのならば、こちらは三人の関係に重点が置いてあります。
付き合うまでの展開はひかり√をなぞるように展開されるので至ってスムーズに進むのですが、「こまけえことはいいんだよ!」って思うくらいに「暁斗が天体観測を再開したきっかけはひかりだったのかもしれない」とか、「ひかりを裏切って暁斗を奪った」などと一人で悩んでいって勝手に病みます。
手紙があったから今の自分があり、暁斗と付き合えているということを心に置いていた彼女は手紙を落としてしまい、夜に天体観測ノートを毎日のようにメモしていたのを補導されたり、など災難を引き起こしますが、暁斗が苦しんでいるときに傍に居てくれたのは沙夜だったことを思い出していき、今度は逆の立場として助けていく展開となります。

エピローグでは先生になっており、夢を叶えた彼女の姿が見られます。
星を見ることが好きかわからない彼女ですが、子供たちに星について教える姿は間違いなく好きでないとできません。いや、例え彼女を動かしていた力の源が「三人の関係を築いてきた証のため」だとしても好きでないと一人で天体観測ノートを書くようなことは出来ないでしょう。天体観測を三人で続けてきたから、一人の人間として星が好きという確信が持てないだけなのかなと思いました。


FINEDAYSでは幼少期に戻り、本編の裏で起きていたガイソン彗星事件に巻き戻ります。クラスで流行っていた「ガイソン彗星と一緒にチョコを渡せばその相手と結ばれる」という都市伝説を信じます。が、アレな彗星でしたんでパーになります。
その後、ひかりから友チョコを貰い、親友は友情を大切にしていた(というより当時の暁斗とひかりには恋愛感情が芽生えてなかった)ために「抜け駆けしようとしていた」と、ずっと引きずってしまいます。結局、何年経ってもバレンタインチョコをあげられない体(?)になってしまった沙夜に対して、彼女からチョコ貰えなかった暁斗が逆チョコのために奮闘して、デザートにチョコの出てくるレストランに行く感じです。いやお前チョコ作れや
それでも暁斗は初めて彼女からのチョコを頂けるのでした。最後は結婚式を迎えて終了となります。幸せそうでなによりですね。爆発しろ

でもね、自分もね、一杯義理チョコ貰って彼女に嫉妬されて逆○イプで襲われたいです。こういうところが沙夜の可愛さ。ちょっと嫉妬深いところが良いのですよ。てか、ここのシーンは笑いどころだからね。

ひかりと沙夜は互いにトラウマを抱えたからこその展開になったと思っております。
転校時のあの事件を起こしたせいで相手の奥深くまで踏み込まないひかりと元々後ろ向きな性格だからこそ失いたくないと思っていく沙夜。お互いの良さがきっちりと出ている良いシナリオでした。
自分はひかり派です。が、沙夜は可愛い。人気出るのもわかるキャラです。

 

・織姫√


織姫の魅力と残念要素を存分に表した独壇場。

年上ながらも、甘えてくるお嬢様は距離を詰めた後のイチャイチャっぷりは見事です。こたつのスケベシーンとかね
そこまでの過程として、三年生である彼女が「天文部で過ごしてきた日々の証を残す」と「もっと多くの人に星に対して興味を持ってほしい」という二つの目標を掲げるために動いていきます。
思い付きで行動する彼女の想いは潰れそうになるのですが、暁斗のフォローにと共に企画を練っていくことになります。お互いに関わっていきながら、企画を「星座の物語を知ってもらって、星に興味を持ってもらう」ということを軸に、「受験の息抜き」にという形に落とし込む形で許可を得て、公演は大成功を収めた後から二つの目標が達成されると共に二人の間も近づいていきます。

ある意味ご都合主義ですが、幼少からの関わりがある他の三人とは違って良くここまで持って行けたなと思いました。共通√での暁斗の動きが影響をしていて、他の高校とは違った価値観を持っていたお嬢様には理解できない部分の架け橋となり、全員で手作りの望遠鏡を作り上げたのも違和感なく進めていけた要因だったと思います。

後は甘ったるいイチャつきを見つつ、卒業旅行への準備に勤しむ後輩である吉岡が先導して動いていきます。そして、卒業式に継承の証となる部室のマスターキーを次の部長である吉岡へ託すシーンですが、もっと一緒に部活をしたかったという彼女に対して、「私も同じ気持ちだけども、マスターキーを受け取らなければ私が次の舞台へ進むことが出来ないし、あなたも先に進めない」のニュアンスな台詞部分で、ちょっと心にきました。
織姫が先輩に託されたように、次は織姫が吉岡へ託す、吉岡が織姫から託されていくシーンをきっちりと表現したかったのがすごく伝わりましたし、織姫は星を見る楽しさを先輩から教えてもらったからこそ、当初の二つの目標であった「天文部で過ごしてきた日々の証を残す」というのをマスターキーとして、「もっと多くの人に星に対して興味を持ってほしい」というのを身近な一番の後輩であった吉岡に対しても伝えることが出来たのだと認識しています。

その後は消化試合、と言っても良いでしょう。卒業旅行は大成功を収めてさらに二人はラブラブです。織姫は「天体を多くの人に知ってもらいたいし、知らせてあげたい」ということで、容姿端麗なのと星が好きということを生かして大学に行きつつ、芸能事務所にて活動することを決意します。
最後は互いに影響されながらも、互いに影響していく、まさに相思相愛っぷりを見せつけてEND。

FINEDAYSも同じような話で、プラネタリウムが天体観測用機材の紹介で同じように多くの人に知ってもらうという物語。よく言えばファンデイスク、悪く言えば蛇足だったかなとは思いますが、手段がアイドルとして星空の世界を案内していくような展開です。
最後は両親に挨拶するため、暁斗が拉致されて南半球へいってEND。ある意味でお嬢様らしい

キャラとしてはひかりと似て、先頭を切っていく物語を動かすキャラですが、ひかりと違うのは周囲の空気を読めなさなところだと思います。だからこそ、彼女をわかってくれる人物が必要で、最初はそれが吉岡だけだったところに暁斗が加わり、最後にはむつらぼしの会メンバーも理解するようになるところは一番愛されているキャラだと思いました。
もしも織姫がむつらぼしの会を結成しなければ、何もかも始まらなかったのですから、彼女の行動力が多くの人を引っ張ってきたのは事実です。

 

・ころな√


何もなかった少女が、目標を見つけるお話。

人間味の溢れたストーリーです。流されて生きてきた秀才の彼女ですが、むつらぼしメンバーや天体観測を通して自分のやりたいことを見つけていくストーリーで、こっちもある意味では王道。
「ころげて」のガッチガチの航空要素を含んだ感じなのを、こっちに移した感じ。
最初のプレイ後は影が薄く、やってる内容も電波望遠鏡を用いた電波観測なので、単純にわかりやすく美しい星空を映すことはなかったのですが、見方を変えてみれば全ルートの中で天文分野を一番取り入れた物語だったと思います。
それまでに至る過程に沙夜との勘違いからによる和解、初期好感度MAXによるころなの積極的なアピール攻めを経て、高校合格を挟むという展開です。個人的にはころなの兄貴の武ちゃんが「ころなに攻略されるなよ」的な台詞が記憶に残っています。よく妹を見てるのがわかる一面ですし、暁斗は結局堕ちますからね。

FINEDAYSではなぜ電波天文学に興味を持ったのか、ということを部活の引継ぎを通して考えていくことになります。OGからの予算をどのように使うのかと悩ますところで、天体観測の際に使う消耗品に充てることになるのですが、個人的にはもう少し良い展開は無かったのかなと個人的には思ったりも。
とはいえ、あくまで合同天文サークル全体を考えての選択になるので、仕方がないところもあるのかな……。
全体的にころな関連は専門知識のオンパレードになるので、初期プレイ時の自分と今の自分では理解力に相当な差が出ていました。今ならわかる部分はありますが。
なので共通の最初のほうにあった冬の星空説明が凄く有り難かったし、ころな√の専門知識も説明をしてくれたら正直もっと良い作品に仕上がったのかなと思います。肉眼と望遠鏡に加えて図鑑での比較からころなが天文学者を志すというエンディングを迎えて終わりです。

でも、天文好きな人はころな√や織姫√は好きかと。あくまで前知識が無いと、興味を持たない限りは理解する前に文字を読むのが苦痛になりますし、プレイ当時はころな√に関しては一番退屈でした。
そういう意味では惜しい作品ではありますね。

 

ここからはFINEDAYSのみの追加ヒロイン√。
個人的には加納先輩が好きだったのですが、昇格は無かった模様。


・美晴√


追加ヒロインでは一番人間味があって、プレイしていて楽しかったです。

教師を辞めてから精神崩壊(比喩)した先生の過去が暴かれていってからのスタートとなります。
とはいえ、田舎のそこまで大きいとは言えないクラスの中で、両親を共に亡くした暁斗や都会からの転校生で片親の沙夜とかいう異質すぎる子供達の相手をするのは相当精神を使ったでしょう。
だからこそ、天体観測に興味を持った例の三人組に協力をして、仲良くなっていく様子を見ているのは微笑ましかった。しかし、沙夜が引き金となり、ひかりに裏切られた結果、暁斗が天体観測ノートを破り、三人の関係も引き離されてしまいます。沙夜がバラバラになったノートを先生のもとに持っていき、修復をしましたが、結局三人がバラバラになって卒業していった様子を見て、「自分が天体観測に興味を持たせたから三人の仲を引き裂いた」と思うようになってしまい、それがトラウマになって廃校と同時に教師として働けずにニートになるのでした。

そんな先生に対して、暁斗が助けてあげたいと思うようになり、デートをしながらプラネタリウム終了後に幼少時にノートを破ってしまった謝罪と今の自分があるのは先生がいてくれたからという言葉を送り、正面から向かい合って伝えた言葉により、トラウマを解消するように大量の涙を流した先生でした。その後は知り合いのOBのプラネタリウム館長が天文台の職員の仕事を以前から斡旋させようとしていたのですが、それを引き受けて無事就職。

これで大体√の主旨は終わりになります。後は恋仲になった暁斗と先生が、30超えて初めてを失ったり、プラネタリウムで逆プロポーズを受けたりと微笑ましい様子を見て終了。
エピローグは二人の間に出来た娘と先生が暁斗の社会人の出勤を見届けてのEND。

一番好きな理由ですが、挫折からの復帰というわかりやすい展開と報われた先生の想いでしょうか。本編で語られているとおり、伏線みたいなのが最初からあるので頭に入れた上にストーリーとして読みやすかったですし、FINEDAYSでは最初にプレイしたほど、本編でもそこそこ物語を始めさせる重要人物でしたから。周りに噂されて自覚無かった先生と生徒の関係だった二人が、異性と意識し始めるところは微笑ましいし、嘘なのに広まっていた初恋の相手と結ばれる辺りもなんか面白いです。
「結婚とか諦めてたけどあなたのおかげで幸せ」的なエピローグの台詞がとても印象に残っています。


・帆乃香√


本編では吉岡で通ってるから下の名前ってなかなか認識出来なかった。

なんというか、トントン拍子で進んでいきます。
合同天文サークル立ち上げから長い期間一緒に協力してくれたことで吉岡が彼を意識してしまい、織姫に恋愛相談しようとした結果、暁斗本人に誤爆してしまうという展開。
暁斗も困惑していたけど、嫌いなわけでもないし、むしろ好きだからっていうことで互いに恋仲になり、その後は超スローペースでイチャイチャして終わりです。
結局のところ、下の名前で呼び合わなかったし、なんか不完全燃焼感が半端なかったです。これから徐々に進んでいくと考えると、まだ進んでいないのかなと思えるのかもしれませんが。
でも色々と織姫√と対比されていて凄く良い部分もあるんですよ。例えば、吉岡の入学のシーンや告白のシーンは対比です。
でもOPの人形を持ったシーンは可愛いのでOKです。


・陽南√


しっかり天文要素も入りながらまとまっているファンデイスクとして素晴らしい内容。

卒業する三年生の暁斗が部長をひなみんに引き継ぐのと同時に大学進学する上でコンビニバイトの募集を掛ける必要があったが、それもひなみんが引き継ぐストーリーです。
バイトを順調にこなす中で、得たバイト代を何に使うか迷うひなみん。あくまで暁斗を助けたい一心でバイトを始めたので、欲しいものが無い彼女は天文部で使える備品にしようと考え、双眼鏡を買うことにします。
暁斗にとっては同じ立場にずっといた他のメンバーとは違って、ひなみんは本当の意味での後輩ということを認識したところで、双眼鏡の使い方を教えてあげるついでに一緒に月を観に行くことになります。
で、一緒に月を見て、ひなみんが告白して受け入れて一夜を過ごした後は特に展開も無く、受験も終わって卒業式で引継ぎをし、引っ越しの準備が終わって一緒にトラックの荷台に乗ってEND。

不思議ちゃんと思われがちですが、密かにアピールしてる一面があれば気の利く一面もあり、真面目な娘でした。ところどころネタも入っているしでメリハリがついた良いシナリオで、ファンディスクの追加なら文句はないレベルです。
双眼鏡の使い方なんかは結構しっかりしてますし、勉強できたとこもありますし、CGとして出てくる月は良く描いたな~と思えるくらい美しく、綺麗。
それにひなみん視点が多いのでそういう意味でも感情移入出来る部分が多いです。
結構簡単に書きましたが、本当に山田陽南の魅力が詰まっています。月を一緒に見終わった後に「恋人同士で一緒に夜を過ごすんです。何も起きないわけ、ないですよね」というセリフは誘ってて積極的やんけ!となりました。PULLTOPの後輩キャラは積極的なキャラ多くないか?
卒業式で泣く姿は結構、グッと来たなと思いきや、ネタでしたとそんな感じで面白かったですよ。先生√とは違う面白さがあったかと。
ちなみにひなみんが選んだ双眼鏡ですが、自分も持ってます。というより買いました。意外と使いやすいですよ。初心者向けの双眼鏡で月も見れれば普通にスポーツ観戦などにも使えて便利です。

ちなみに暁斗の進学先は国立茨城大学工学部だと推測が出来ます。日立市にキャンパスがありますからね。


・全体的な感想


この作品は元々プレイしたかったのですが、機会が無く発売から結構日数が経ってからでした。その時は星には興味はあったけども、天体観測への熱意はまだ無かったのですし、取り戻していなかったのですが、プレイ後は一気に熱意を取り戻せた気がします。そこに加えて宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだもんですから、アルビレオという存在が心の中で滅茶苦茶大きいものになりました。

ちなみに攻略順は織姫→ころな→ひかり→沙夜。
一番好きなキャラは織姫ですが、幼馴染組の中ではひかりですかね。やっぱり前を突っ走ってくれる女の子は好きですし、ギャップ萌えってのは個人的には大好きなんですよ。
人気投票一位の沙夜は理由はわかる気がしますが、自分の中では頑固なイメージが強いです。

「ころげて」は空への情熱に対して、星への情熱を描くと思ってた本作品ですが、どっちかと言えば人間関係に対して重点を置いていましたね。それでも星や天文要素がありますし、おまけ程度の扱いじゃないのは高評価。
どっちも好きですが、物語の完成度としては「ころげて」のほうが上です。しかし、身近なのは「みあげて」という印象を持つのはフライトという一部の人間しか分かり合えない部分よりも、星空という非常に私たちのそばにあるものだからだと思います。
結局のところ青春している作品が好きだから、自分がPULLTOPが好きになったということです。

全体的な物語として光っていたのは対比。恐らくアルビレオも、ひかりも沙夜も、その他のキャラも対比で出来ている印象でした。片方が輝けば、片方も輝く。そんな関係が詰め込まれた世界観で、星空を綺麗に映し出したのは非常に良かったです。素晴らしい作品だと胸を張れるでしょう。
2014年の萌えゲー大賞の「サクラノ詩」は金賞、「みあげて」は銀賞だったから続けて感想を書きました。どちらの作品も合う人がやれば名作だと個人的には思っています。ぜひともプレイしてみてください。

なぜ人生に一本投じたかというと、北関東で就職したいという気持ちがデカくなったところでの決め手になったからです。「ころげて」「みあげて」の舞台は茨城で、自分の就職先は茨城。
お気づきでしょうか?そういうことです。
理系だからこそ、星に惹かれ、空に惹かれる。さて、PULLTOPさんが理系心をくすぶる次作品を作ってくれることを祈ります。